牛腸茂雄 著. Private Press. 1981. Hardcover with slipcase. Text in Japanese. Size: 254 x 270mm
写真家 牛腸茂雄が1978-80年に撮影したカラー写真群を収録。特別な出来事ではなく、街角や建物、人の気配といった日常の断片を、抑制された距離感で静かに捉えている。
われわれ一人一人の足下からひたひたとはじまっている、この見慣れた街。逃れようにもまとわりついてくる日常という触手。見慣れた街角の雑踏、スキャンダラスな犯罪記事、あやしげな広告、甘くやわらかいファッション、軽い陽だまりの会話、数えあげれば限りない。そのような拡散された日常の表層の背後に、時として、人間存在の不可解な影の夜霧をひきずる。その〈かげり〉は、言葉の襞にからまり、漠とした拡がりの中空に推積し、謎解きの解答保留のまま、この日常という不透明な渦の中で増殖しつづける生き物のようでもある。私は意識の周辺から吹きあげてくる風に身をまかせ、この見慣れた街の中へと歩をすすめる。そして往来のきわで写真を撮る。(牛腸茂雄)
状態は函に少ヤケ、少スレ有。本体は一箇所図版に傷有。













