A Magazine 2021年 英文 限定3000部 プリント付 ソフトカバー サイズ:295×230mm
『A Magazine Curated By』のバックナンバーの中でも、特に人気を博して長らく絶版となっていた『A Magazine Curated By Maison Martin Margiela』の限定復刊版。2004年に初版が発行された本誌は、「アントワープ・シックス(Antwerp Six)」と呼ばれる、ベルギー人ファッションデザイナーのグループの一人であり、また教育者でもあるウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter Van Beirendonck)が、新しい世紀の始まりに生み出したベルギー発の雑誌『A Magazine』のルーツを辿ることが出来る一冊である。
本誌は、創刊号から『N°A』『N°B』『N°C』『N°D』『N°E』 と続いた後に、初めてタイトルにメゾンの名前が冠された号である。これは、チームとしての活動を重んじたマルジェラの精神を表すものでもあった。マルジェラの示唆に富んだキュレーションによって、舞台裏で匿名的に活躍したメゾンの創作に欠くことが出来ないコラボレーター達の存在が、誌面を通して明らかになっている。本誌は、マルジェラ本人だけに注目するのではなく、スタッフ、インターン、モデル、アーティスト、フォトグラファー、ミュージシャン、セットデザイナー、フィルムメイカーなど、メゾンに関わるあらゆる人物が残した言葉、写真、映像によって、メゾンのチームとしての活動を誌面上に蘇らせようとしている。こうして、初版の発行から20年近く経った今でも復刊が待ち望まれていたことは、『A Magazine』が、タイムレスなコンテンツを発信し続けてきたことの証でもある。また本誌は、服、写真、キャスティング、コミュニケーションに至るまで、メゾンのあらゆる活動に貫かれていた「古い構造を破壊し、新たな構造を生成する」というダダイスト的な脱構築の表現が、現代においても、その独自性を失ってないことを明らかにする。また、紙から印刷に至るまで、初版を完全に再現しており、裏表紙には現編集部による今回の再版企画の解説文を記載している。
更に今回の復刻版には、マーク・ボスウィック(Mark Borthwick)、アンダース・エドストローム(Anders Edström)、マリーナ・ファウスト(Marina Faust)、ジョナサン・ハラム(Jonathan Hallam)、オラ・リンダル(Ola Rindal)、ロナルド・ストゥープス(Ronald Stoops)によるフォトプリント(240 mm x 180 mm / サインなし)いずれか1枚が付属。本誌の売上の一部は、地中海を渡りヨーロッパ諸国に逃れてくる移民や難民を支援する「Sea Watch」及び「RIACE」のチャリティ団体に、出版社を通して寄付される。
2009年にブランドを去ったマルタン・マルジェラは、現在はベルギーで彫刻を主媒体とするアーティストとして活動。ブランドは2015年に「メゾン・マルジェラ」へと名前を変え、イギリス人ファッションデザイナーのジョン・ガリアーノ(John Galliano)がメゾンのコードをアップデートし続けている。
復刻版の刊行に合わせ、フランス人映画監督のアレクサンドル・シルバースタイン(Alexandre Silberstein)による5部作の映像作品が『A Magazine』のウェブサイト及びSNS上で公開される。2004年の初版制作の舞台裏を撮影した貴重な映像のほか、「メゾン・マルタン・マルジェラ」のオリジナルメンバーによるナレーションも収録。また、復刻版を被写体にした、日本人写真家のオトベ・ケイスケによるスチルライフ写真も同時公開される。(twelvebooks)
新刊です。