原美樹子 著. Chose Commune, 2022. First Edition. Softcover. Text in Japanese, English and French. Size: 270×230mm
日本人写真家、原美樹子の作品集。電車に乗っている青年、手をつないだカップル、公園で遊ぶ少女など、目の前を通り過ぎる人々を独自の手法で密やかに撮影している。シャッターを押すとき、一瞬被写体と目が合うこともあるが、対峙して言葉を交わすことはない。にもかかわらず、これらのポートレートは、作者と被写体が「その時にその場所にちょうど居合わせる」という見えない約束で結ばれているかのように、限りなくパーソナルな何かが表出している。
作者の撮影におけるアプローチは、日常生活の記録にしっかりと根ざしており、シンクに置かれた切り花、冷蔵庫の中のイチゴのショートケーキ、床でうたた寝する3人の息子など、親密な生活空間の中にまで広がっている。母であり妻でもある「写真家」の眼差しは、外から内へ、公から私へと行き来する。どこにいても、作者は観察し、人生の断片を物語る。
本書は、1996年から2021年までの未発表写真を、版元である「CHOSE COMMUNE」と作者の共同で選定してまとめられた1冊。(Twelvebooks)
*新刊です