ホンマタカシ. MACK, 2023. Softcover. 80pp. Size: 240x300mm.
日本人写真家、ホンマタカシの作品集。富士山というアイコニックな被写体を中心に制作した一作。作者は、浮世絵の木版画における伝統を参照し、写真という媒体に対して特徴的かつ本質的なアプローチで本作に取り組んでいる。2023年10月6日から2024年1月21日まで「東京都写真美術館」で開催される展覧会に伴い刊行された。
本作では、日本で、そして世界で最も象徴的かつ広く知られたシンボルのひとつである富士山に迫る。葛飾北斎の有名な浮世絵の木版画シリーズ「富嶽三十六景」をタイトルとして掲げ、母国の表現と描写の伝統を喚起させながらも、心を揺さぶるほどに被写体との新たな出会いも同時に描く。ピンホールカメラとデジタルテクノロジーどちらも用い、幽霊のような山のイメージ群を制作。東京の南西に在る富士山をより広い風景の中に曖昧に位置付けたコラージュを駆使することで、そこから壮観さを思い起こさせると同時に、それをあえて覆す。本作によって作者は、日本の視覚文化史における巧緻かつ本質的な新章を生み出してみせたと言えよう。
(twelvebooks)
*新刊です。中表紙にサイン入り。