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矢島陽介「Ourselves / 1981」




矢島陽介は1981年山梨県に生まれ、学生時代から独学で本格的に写真制作を始めた。2009年の「1_WALL」入選以来積極的にグループ展や個展に参加し、国内外の著名な写真フェスティバル等に入選を果たしてきた。本写真集『Ourselves/1981』は、矢島の活動の大半にあたる2010年から2015年までの作品をまとめた一冊であり、そのタイトルが示すように、1981年に関東に生まれた矢島自身が経験してきたひとつの時代とその実感を描き出している。被写体の外側にあるものも含めて時を閉じ込めるという写真の性質を利用し、矢島は写真に映り込む気配を捉える、ということに対して慎重かつ積極的にアプローチしてきた。80年代関東に生まれた者は皆、大都市が21世紀へと切り替わるいくつもの瞬間を通過し、その中で世界の手触りがはっきりと変化したのを体感した。成熟しきった社会で生活も人々の関係性や心理も「郊外化」し、大きな事件のない「今」が綿々とつながっていくという未来に悲観も楽観もなく、妙に体温に欠けた実感しか持てない。矢島はその体温の不在、不穏な予感を写真というメディアを通して注意深く、客観的に観察し、視覚化してきた。郊外と都心を往復する日常の中で、世間と自分との間に感じるわずかなズレ。そこから目を逸らさずに、丹念に撮影地と被写体を選んだ上で、自分の「感じる」世界の見え方が正しく描き出されるよう、注意深くイメージを作り上げる。矢島の写真に繰り返し登場するプレハブの壁面、引かれた図面が建材で起こされただけのようなペラリとした街の風景、顔を持たない後ろ姿。体温を持たないそれらのイメージはすべて等しく、矢島の抱える生への疑問と渇望を伝えている。

「Ourselves / 1981」によせて
≪深井佐和子(G/P galleryディレクター)≫



◆ 矢島陽介「Ourselves / 1981」
会場:東塔堂 | Totodo
会期:2016年9月5日[月]→ 9月22日[木・祝]
時間:12:00−20:00 [日曜休み]
入場:無料


◆ トークイベント
9月10日 [土] 18:00−
宇平剛史(デザイナー)×大山光平(Newfave主宰)×矢島陽介
本作りやデザインについて。予約不要、参加自由です。ぜひお越し下さい。


◆ 作家略歴
矢島 陽介
1981年山梨県生まれ。現在、東京を拠点に活動。2009年 第1回写真1_WALL入賞。2013年トーキョーフロントラインフォトアワード審査員賞。 主な個展に「Ourselves / 1981」(2015/G/P Gallery/東京)、「PORTRAIT」(2011/Gallery 916 small/東京 )、「A place in the cliff」(2011/TAP Gallery/東京)など。 主なグループ展に「SPACE CADET Actual Exhibition」(2012, 2013/ターナーギャラリー/東京)、「THE EXPOSED #6」(2011/表参道ヒルズ/東京)など。 昨年、『Ourselves / 1981』を刊行(self-publishing)。ドイツ・カッセルで開催されているFotobook festival Dummy Awardへの入賞(2013)や、オランダ・アムステルダムで毎年開催される「Unseen Dummy Book Award」に入賞(2013, 2014)など、活動の幅を広げている。

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